双条光華のエンタメ一刀両断!でタグ「小池徹平」が付けられているもの

「勇気…予測不能の脱出!」

 相変わらず、重い物語が展開しているが、空回りしている印象が強い。

 竹虎(小池徹平)とリカ(末永遥)は芸能事務所の男たちによって、樹海に埋められてしまうが、いとも簡単に地上に出てきてしまう。まさに、裏で操っていた落合(橋爪遼)が言ったとおりで、殺してから埋めるとか、海に沈めるとか、もっと確実な方法をとるべきではないか。物語の展開上、二人が助からないといけないのは分かるが……

 子どもの頃のリカが母親(春木みさよ)にフォークを突きつけて以来、母親はリカを恐れ、無視し続けてきたという設定も、非常に浅薄な気がする。きっかけとしては考えられなくもないが、親子関係を元に戻す方法はいくらでもあっただろうに。そのため、本来であれば感動的であるはずの母娘の和解シーンでもカタルシスは得られなかった、作品にネタを詰め込みすぎた結果、それぞれが薄っぺらくなってしまったのではないだろうか。

 この作品の本当の物語は、落合と竹虎やさくら(真矢みき)の対決である。今回の終盤で、落合は竹虎に「本当の恐怖はこれからだよ」と言い放った。落合は何を企んでいるのか、落合がこれほどまでに力持っているのはなぜなのか、フィナーレに向けて動き出した物語最大の事件がどう描かれるのか期待したい。

 あまりしっかりと見ていないので、前回は気づかなかったが、へルタースケルターの副ヘッドで裏切りモノの五十嵐は桐山漣が演じてたのか。かわいらしい役が多かったような気がするが、悪役(?)も結構ハマってたなぁ。

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 今年の夏ドラマの中で、現在視聴中なのは「太陽と海の教室」「シバトラ ~童顔刑事・柴田竹虎~」「学校じゃ教えられない!」「四つの嘘」「コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命」「恋空」「33分探偵」「ここはグリーン・ウッド ~青春男子寮日誌~」の7作。これにプラスして「炎神戦隊ゴーオンジャー」「仮面ライダーキバ」の特撮2作、「花ざかりの君たちへ ~花様少年少女~」「ろまんす五段活用 ~公主小妹~」の台湾ドラマ2作、「24 Season 5」「LOST2」「HEROES」の長編ドラマ3作。いずれも地上波もしくはBSでの視聴だが、すべて録画したものを見ているので、放送のタイミングとはズレてしまっている。

 中間レビューと言うには少し遅い時期になってしまったが、個別レビューを始める前に、現段階での一通りの感想を書いておこうと思う。

 ということで、今日は「太陽と海の教室」「シバトラ」「学校じゃ教えられない!」の3作について簡単にまとめておく。

太陽と海の教室

 第4話まで視聴済み。
 月9では久々の学園ドラマ。日テレで「14才の母」「バンビ~ノ!」などのプロデューサーとして活躍していた村瀬健のフジ移籍第1作である。

 湘南を舞台に繰り広げられる高校生たちの青春群像がなんともすがすがしく、見ていてほほえましい良作といえる。若手俳優たちの爽やかさもよいが、織田裕二扮する櫻井朔太郎の哲学的な言動がこのドラマの肝であり、タレントを集めただけのワイワイ学園ドラマとは一線を画した作品になっている。
 学園ドラマの定石ともいえる、主人公の教師と校長(もしくは教頭や理事長)との対立、主人公の肩を持つ教頭(もしくは校長や理事長)という構図は、本作でも同様で、朔太郎を呼び寄せた校長の長谷部杏花(戸田恵子)以外の教員は理事長の神谷龍之介(小日向文世)側に付き、朔太郎を邪魔者扱いしている。本作では、長谷部の娘である榎戸若葉(北川景子)を朔太郎が担当する3年1組の副担任につけるということで、定石に味をつけているようだ。さらには、その若葉に結婚を迫る川辺英二(山本裕典)というキャラクターを用意している。

 物語は3年1組の生徒たちを中心に、進学と恋愛を絡ませながら展開していく。主要な生徒一人一人が何らかの問題や悩みを抱えているというのは、どんなドラマにもよくある設定だが、本作はそれらをバラバラに処理することなく、ある一つの方向に向かって収束させていこうという意志が見える。学ぶことの本質的な意味とは何か。人生における高校生活の意義とは何か。直接的な表現こそされないものの、学歴至上主義の現代に生きる人たち(特に高校生たち)への強いメッセージが感じられるのである。

 キャストについてふれると、根岸洋貴役の岡田将生は正統派の美少年だが、ちょっと頼りない雰囲気がいい味を出していて良い。白崎凜久役の北乃きいは「ライフ」の印象が強いが、勝ち気に見える顔つきは今回の役にも活かされている。田幡八朗役の濱田岳は、もはやこの手の役回りには唯一無二のポジションを確立したと言っても過言ではない。屋嶋灯里役の吉高由里子は「あしたの喜多善男」のイメージそのままのファム・ファタール(魔性の女)っぷりがハマっている。楠木大和役の冨浦智嗣は、だいぶ大人っぽくなったが、声の魅力は前と変わらず安心(笑)ただ、長髪はイマイチ。日垣茂市役の鍵本輝(Lead.)は、熱血っぽさが似合っている(本業の歌手としての注目度が低いのは問題)。澤水羽菜役の谷村美月は、ミステリアスな雰囲気を感じてしまうが、優等生らしい冷たさ加減が良い感じ。川辺英二役の山本裕典は、派手な茶髪がよく似合う。三崎雅行役の中村優一(D-BOYS)は、もっと快活な役柄の方が良い。役とはいえ、髪型に違和感アリ。

 ちなみに、公式サイトを見ていて驚いたのは、北川景子演じる榎戸若葉が東大卒の才女だということ。どう甘く見ても東大卒とは思えない。そもそも東大卒という設定に意味があるのだろうか?ドラマの中での描写を見ても、東大卒とは思えないし、東大卒の設定なら北川景子はミスキャストだろう。東大卒という設定さえなければ、何の文句もないのだが・・・。

シバトラ ~童顔刑事・柴田竹虎~

 第7話まで視聴済み。
 安童夕馬・朝基まさしによるコミックを原作とした刑事ドラマ。タレントの力(人気)によりかかっただけの駄作。

 シバトラこと柴田竹虎(小池徹平)による潜入調査の中で起こる事件を一つのエピソードにつき3話程度のボリュームを持って進めている。主演の小池徹平は童顔刑事という設定にピッタリで、22歳だがまだまだ高校生役でも問題なくいけるだろう。

 そういう意味では、変装や演技の力を求められる潜入捜査というのは、役者という仕事と共通しているのかもしれない。だとすれば、本作において、小池徹平は刑事としての竹虎を演じた上で、さらに潜入する上での役柄をも演じるという、二重の演技をしていることになる。そして、その二重の演技にこそ面白さが生まれるはずだ。
 しかし、たとえば第一のエピソードにおける高校への潜入捜査では、小池自身があまりに高校生らしすぎた結果、何の違和感も面白さも感じさせないままストーリーは展開してしまった。今までのところでは、メイド喫茶への潜入により女装した時だけが、笑わせる要素を含んでいたと思うが、それでも意外と似合っていたのだから、困ったモノだ。
 まあ、そもそも童顔刑事という設定であるために、無理のある潜入捜査を描いたコメディーとはなり得ないわけだし、原作もそれを狙っているわけではないだろう。だから仕方がないのだけど、ドラマ化するのであれば、変装の違和感をうまく演出してコメディータッチにしても良かったのでは?と思ってしまう。

 というのも、作中の事件や登場人物たちの人間関係・過去などには重い要素を盛り込んでいるにもかかわらず、それらの描写はあまりに表層的で、深みが感じられないのだ。独特のメッセージ性を含んでいるわけでもないのだから、もっと笑えるドラマにした方が良かっただろう。過去に傷があるという設定だけで物語に重厚さを感じるほど、視聴者は単純じゃない。

学校じゃ教えられない!

 第3話まで視聴済。
 「女王の教室」「魔女の条件」などでおなじみの脚本家遊川和彦によるオリジナル脚本作品。

 名門女子高に5人の男子が入学したことから物語は動き出す。英語教師の相田舞(深田恭子)はその5人と、問題を抱えた5人の女子を社交ダンス部に入れるが、校長の氷室賢作(谷原章介)や校長代理の影山盟子(伊藤蘭)は、社交ダンス部を認めない。舞は、一見頼りなさげだが、芯のしっかりしたタイプで、社交ダンス部を存続させるべく行動していく。

 “性”を前面に出した内容のため、その過激さが問題となって子供に見せたくない番組にランクインしているそうだ。遊川は、「女王の教室」に代表されるように、ドラマのジャンルの既成概念を覆すような作品を書いている。本作もいわゆる“学園ドラマ”の安心感と説教臭さを真っ向から否定した学園ドラマなのではないだろうか。さらには、ドラマはあくまでもエンターテインメントであり、教育ツールではないという理念が感じ取れるような気もする。カタく考えずに楽しもうよ、そんな声が聞こえてくるようだ。

 メインの生徒が10人というのは、いささか多すぎるようにも感じるが、一人一人のキャラクターが確立しており、それぞれの個性が活きている。中でも注目すべきは水木一樹(中村蒼)、見城瞳(朝倉あき)、横山永璃(仲里依紗)、西川叶夢(森崎ウィン)の4人だ。一樹と瞳は社交ダンス部の中心的存在で、客観的な視点で他のメンバーの恋愛や悩みを見つめている。その裏にあるのは、この二人は恋愛ということにおいて、蚊帳の外にいる存在だという点だろう。一樹は叶夢のことを好きになってしまったが、永遠に伝えないと決めている。パートナーの瞳は結果的には取り残されたことになる。恋は盲目とよく言うが、恋から一歩離れたところにいる二人だからこそ、自然と冷静な言動をとってしまうのだろう。逆に永璃は、まさに恋多き女であり、それゆえに盲目である。彼女と叶夢の向こう見ずな行動と、一樹と瞳の冷静さが重なることによって、物語の魅力が生まれているのだ。

 楽しんでみられる良作だが、演技の拙さや映像処理の粗さ(カットの切り替わりに違和感を感じるなど)が目立つ。全体的に荒削りなのがもったいない。

 キャストに関して言えば、中村蒼は「名前で呼ぶなって!」で初めて見て以来、注目中。ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト出身でバーニング系列のレプロエンタテインメントに所属している。事務所の力もあるだろうが、すでに「BOYSエステ」で連ドラ主演、「ひゃくはち」で映画主演を果たしている。声の重さ(低さ)が気にかかるものの、これからの活躍が期待できる注目株だ。また、成田静也役の前田公輝や仲里依紗についても今後を期待したい。

 あけましておめでとうございます。いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 このブログを始めたのは、昨年5月。約半年で9万アクセスを超えることができたのも皆様のおかげです。当初は、ほぼ毎日更新しており、内容もドラマの感想が大半でした。各話ごとに感想を書いていたのは、その頃だけで、徐々にドラマの感想が減り、本の感想が増えたような気がします。

 ドラマ自体は、常に5~7作品ぐらいを観ているのですが、書籍に比べて、ドラマのような映像作品の感想を書くのは意外と大変で、いつのまにか遠ざかってしまったという感じです。各話ごとに何かを書こうと思うほど魅力的な作品がないというのもありますが。

 まだ、昨年の冬期ドラマのまとめを書いていないので、年を越してしまいましたが、それだけは書いておこうと思います。それと、今さらですが、昨年視聴したドラマ全体のまとめも書くつもりでいます。

 続いて本の話ですが、読書録によれば、昨年は140冊程度の本を読んだようです。二日に1冊という目標には及ばなかったものの、これだけ読めれば十分かもしれません。問題は、これだけ読んでもなお、買った本の数の方が勝っているという点です。今年は、買う量を減らすのが目標です。

 そして、DVDも似たような状況で、40本ぐらい購入したにもかかわらず、まだ1本も観ていません。テレビドラマとテレビ放送される映画を観るだけで手いっぱい。でも、ちょっと安かったりするとつい買ってしまうので、少しずつ観ようと思います。

 一応、芸能ネタに関しても触れておきます。まず、内博貴の復帰時期が気になりますが、遅くても4月中にはというのが私の根拠のない予想です。また、KAT-TUNのデビューも今年中ではないかと思います。これ以上デビュー時期を延ばすのは危険な気もしますが、修二と彰の「青春アミーゴ」の大ヒットで、デビューしづらくなった(ハードルが上がった)という印象もあるので、ひょっとすると、という可能性も否めません。

 このブログでは特に書いていませんでしたが、昨年は韓流・子役・若手俳優などのブームが見られました。そのようなブームを見ると、芸能関係においては女性が中心であるということを強く感じます。このブログで芸能ネタなどを扱う際には、主に女性の読者を想定して書いているのも、そのような理由によります。特に、ジャニーズ関係は非常に強い訴求力があり、アクセス数が格段に増えます。

 若手俳優ブームに関しては昨年始まったことではありませんが、男性アイドル市場を独占状態しているジャニーズの牙城を崩すための一本の筋道がそこにあるのかもしれません。昨年デビューしたWaTはウエンツ瑛士と小池徹平によるデュオですが、俳優として注目された後のデビューでした。バーニング所属だからということもあると思いますが、「俳優→アイドル歌手」という流れでなければ、ジャニーズの圧力によって、ミュージックステーションには出演できなかったでしょう。

 一方、ヴィジョンファクトリー(一応バーニング系)はあくまでもアイドル歌手にこだわっており、ジャニーズと競合するw-inds.、FLAME、Leadなどはほとんどテレビに出てきません。「アイドル歌手→俳優」を目指しても、自社提供に近い映画や深夜ドラマに出演するのが関の山といった感じです(「デビルマン」などの例外もありますが)。

 ただ、若手俳優も場合によってはジャニーズの圧力を受けるようで、「ごくせん2005」では赤西仁・亀梨和也と共演した速水もこみちの売れっ子ぶりを警戒して、出版社などに圧力をかけているという噂もあります。

 ということで、結局は今年もジャニーズの一人勝ち状態が続きそうです。ちなみに、若手俳優の中で個人的な注目株は落合扶樹。今年の活躍を期待するという意味で、名前だけ挙げておきます。

 さて、長くなりましたが、最後に一言。昨年書くべき内容をまだ消化し終えていないまま、新年になってしまい、時々覗いてくださっている方々には申し訳ない限りです。今年も、更新ペースはゆっくりになりそうですが、冷静な視点ということを心がけて、読みやすい記事を書いていくつもりですので、お付き合いいただければ幸いです。

 ということで、今年も当ブログ、および泡坂妻夫マニアックをよろしくお願いしたします。

「英語対決!勝負だバカ6人」

 今回の中心は、英語。洋楽を使って英語に慣れる、というのもやはり、すでに広く実践されている内容で、これといった新奇さはなかった。

 このドラマで描かれる勉強法というのは、基本的にすでに提唱され、認められているものを少しアレンジし、誇張したにすぎないような気がする。もちろん、勉強法だけがドラマの魅力ではないので、全体を否定することはできないが、革新的な勉強法を期待していただけに、物足りない感じがしてしまう。すでに有効的な勉強法というのは出尽くしてしまったということかもしれない。それだけ、受験ということが一般的であるのだろう。

 なお、今回、東大英語の自由英作文は減点法で採点されるということが説明されたが、これは東大に限ったことではなく、ほとんどの場合、自由英作文は減点法による採点である。だから、曲がりなりにも高校の英語教師として働いている真々子(長谷川京子)が東大の問題を見て、減点法であると気付かなかったというのは違和感がある。龍山高校は大学受験をする生徒自体が少ないということだろうか。確かに、自由英作文が出題されるのは国立大学や、上位クラスの私立大学であることを考えると、彼女が知らなくても当然なのかもしれない。

 ちなみに、自由英作文に限らず、国語・社会・理科の記述・論述問題や小論文なども基本的に減点法で採点される(問題によって、必須事項が設定されている場合が多いが)。自由英作文で簡明な構成、容易な単語、短い文を心がけることは基本であるし、それは論述や小論文などでも同様だ。どれだけ丁寧に細かく書こうとも、必要最低限のことしか書いていない答案より高得点になることはない。むしろ、余分な部分に間違いがあれば、そこで減点されてしまう。減点される可能性を減らすためには、無駄なことを書かないに限る。

 そういう、受験の基本とも言える知識を身につけることは、受験体制に入る第一歩である。受験勉強(特に大学受験)は志望校に合わせた勉強が不可欠であるから、まずはじめに志望校の傾向を抑えなくてはならない。東大に受かった人が早稲田に落ちるなどということがざらにあるのは、早稲田向けの勉強をしていなかったというだけのことで、東大に偶然受かったということではないし、ましてや東大よりも早稲田の方が難しいというわけでもない(問題にもよるし、個人的な感じ方にもよるが)。

 だから、今回、特進クラスの矢島(山下智久)・水野(長澤まさみ)・緒方(小池徹平)・香坂(新垣結衣)・小林(サエコ)・奥野(中尾明慶)が、龍山一の優等生で、帰国子女の栗山祥太(橋爪遼)よりも高得点をとったのは当然と言える。桜木(阿部寛)が言ったように、情報は力なのだ。こと受験に関しては、情報の力は大きい。だから、多くの受験生は、膨大な情報を持っている大手予備校に通うのである。

「泣くな!お前の人生だ!」

 今回のストーリーには二つの山場があり、さらに教員たちへの試験や東大合格のための勉強法も多数紹介され、充実した内容だった。

 緒方英喜(小池徹平)と奥野一郎(中尾明慶)、奥野次郎(水谷百輔)の双子兄弟が引き起こした喧嘩騒動は、実のところただの兄弟げんかでしかなかったわけだが、次郎の偽証により、英喜が犯人となってしまった。そして、ここでもやはり学歴による不平等が存在した。秀明館高校に通う優等生次郎の言葉は無条件に受け入れられ、龍山高校に通う劣等生英喜の言葉は無条件に否定される。この理不尽な状況から抜け出すためには、優等生にならなくてはいけない。そのための手っ取り早い手段こそ、東大生になることなのだ。

 このドラマで面白いのは、まさにその部分である。普通、東大へはすでに優等生として認められている人間が、当然の流れとして、エリートコースの一環として行く。しかし、東大は優等生のためにあるのではなく、虐げられてきた劣等生、落ちこぼれたちのためにあるのだ。東大は納得できない不平等から抜け出すために目指すのだ。

 そして、もう一つの面白さは、社会に満ちた不平等の存在を一度も否定しないという点にある。不平等はいけないとか、社会は平等であるとか、そういう聞き飽きた妄言を桜木は全く口にしない。不平等は確実に存在する。だから、自分が上層に行かなくてはいけない。不平等を撤廃する必要などないし、そもそもそんなことは不可能だ。とにかく、自分がその餌食にならなければ良いのである。

 この考えは、無実の英喜に始末書を書かせた桜木の行動に如実に表れている。「ごくせん」でもそうだったが、無実の罪には断固として反対し、無実であれば無実を主張すべきだという考えが普通である。それはその通りだ。しかし、今回のような瑣末な事件で、しかも始末書だけで済む程度であれば、無実であろうと罪を認めたほうが楽な場合もある。不平等が存在する以上、それを覆すのは容易なことではないのだ。

 さて、結局一郎は事実を述べ、特進クラスへ入ることも決めた。その特進クラスで今回行われた授業は、理科(物理)と古文。化学・生物・物理・地学の4科目が存在する理科(全てを勉強する必要はないが)を1人の教員が請け負うというのもすごいが、イラストや実験で身につけるというのがどの程度効果的かというのも疑問である。そもそも、物理は身近な現象を対象とした学問であるので、身近に感じられるイラストや実験を利用するのは普通である。その上で公式をどう覚えるかや、複雑な問題をいかに容易な問題の組み合わせに分解するか(身近な現象に置き換えるか)が重要だろう。イラストで身につけても、それを使いこなすためにはもう一段階必要だ。それがどのように指導されるのかを期待したい。また、化学や生物に出てくる化学式の攻略法も紹介してほしい。

 一方の古文はマンガで親しむという、昔ながらの方法。古文や歴史の勉強にマンガを使うのはあまりに一般的すぎるが、他に良い方法がないというのも事実かもしれない。ただ、これも初期の段階だけで、最終的には普通の勉強をする必要がある。その部分での新しい勉強法を期待しよう。また、古文単語や英単語などを語呂合わせで覚えるのも昔ながらの勉強法である。語呂合わせの問題点は、本来一意に定められないはずなのに、一つの単語に一つの意味しか覚えないという一対一対応になりがちなところだが、それはどのように回避するのだろうか。

 そして、最後に桜木が「あとは英語だけだ」というような発言をしたが、現代文や小論文はどうするのだろうか。特に現代文は教えるのが一番難しい科目だと思うので、これをどのように教えるかが楽しみだったのだが、古文を教えていた芥山龍三郎(寺田農)が指導するのか。画期的な現代文の指導をぜひ見たい。

「遊べ!受験はスポーツだ!」

 桜木(阿部寛)は雰囲気こそウサン臭いものの、やっていることは他の登場人物の誰よりもまともだ。特に、他の教員の行動の幼稚っぽさといったら……。それゆえの龍山なのだろう。

 桜木率いる「特進クラス」には、新たに水野(長澤まさみ)が加わり、計五人となった。その五人の中でリーダー的な存在になっているのが、矢島(山下智久)である。彼は、桜木に300万円で買われたわけだが、彼をクラスに引き込んだのは、300万以上の価値があった。彼は途中であきらめかけた、緒方(小池徹平)や香坂(新垣結衣)を繋ぎとめ、彼らのヤル気を出すきっかけとなったのである。おそらく、桜木が矢島をあそこまでして引き入れたのは、彼の性格を見込んでのことだったのだろう。

 桜木による、勉強はスポーツだという意見は理解できる。秀明館高校の教員である山本(矢沢心)のカレシ候補の一人、東大卒の田中(村上大樹)が反復練習によってボーリングを上達させていたのは、勉強においても反復練習が大切であるということを表していたのだろう。事実、スポーツも勉強も反復が必要であるという点では似ている。

 ただ、「数学は瞬間的に、自動的に、機械的に解け」という桜木の教えは納得しがたい。基礎段階での限定的な場合のことであるならば、賛成できるが、これが東大の問題となるとそうはいかないだろう。東大入試の合格点が低いのは、公式を覚えているだけで反射的に解けるような問題が出題されないからである。東大入試に必要なのは、公式を公式として覚えるのではなく、公式の成立過程を理解し、自分なりに咀嚼することではないだろうか。だから、公式を覚えて機械的に解くことは、初期段階おいては必要なことだろうが、今後もこのやり方で東大に合格できるとは思えない。また新しい勉強法が出てくることを期待する。

 それにしても、あの数学のテストはさすがに無理だろう。高校数学の問題というから、高1程度なのかと思っていたら、高3レベルの問題だった。しかも、対数・三角関数・微積分・数列・行列と、数III数Cの範囲まで入っているようだ。100問程度あったようだが、それを20分で解くというのは、東大合格者でも無理だと思う。100問だとすると、一問12秒で解かなくてはいけない。小中学校レベルの単純な計算問題ならまだしも、高校最高レベルの問題をそんなスピードで解ける人がいたら、ギネスものだろう。

 さらに、机の上には、問題用紙のみで、計算用紙が一枚もない。その問題用紙も、各問の間は1、2行しかなく、解答を書き込んだらそれだけで埋まってしまう。どう考えても暗算で解けるような問題ではないのに、計算スペースが全くないというのは理解できない。あのレベルの問題であれば、計算用紙を別に用意するか、あるいは、問題の間のスペースを十分にとるのが当然だろう。時間を考えると暗算でやるしかないから、計算スペースなど必要ないということかもしれないが、おそらく、プロの数学者でもあの問題を暗算で解ける人はいないだろうし、20分で100点をとれる人はいないだろう。

 あのテストで半分も取っていれば、その時点で数学の学力は相当のレベルに達していると思われる。小中学レベルで四苦八苦していた人間が、一気にそのレベルに達するとは思えない。あの中には、三角関数を積分する問題まであったが、あれを解くためには、三角比・三角関数・微分・積分を理解していなくてはいけないし、それを理解して解けるようになるには、式の計算や方程式、1・2次関数などのより基本的な部分も押さえてなくてはいけない。5日程度では絶対に不可能だ。

 ああいう問題を出題しておきながら、教頭を中心とする反桜木の教員たちは、結果を不安げに待っていたが、はじめからあの問題が解けるわけがないというのが分からないのだろうか。万が一にも、などという可能性は皆無だ。採点の結果は描かれなかったが、もし、1問でも正解していたとしたら、それは本当に奇跡だろうと思う。

「自分の弱さを知れ!」

 作中で、矢島(山下智久)も言っていたが、桜木(阿部寛)の発言は詐欺師に近い。だが、その胡散臭さが阿部寛の魅力であり、このドラマの面白さでもある。

 それにしても、「特進クラス」のメンバーがあまりに簡単に集まったのには驚く。矢島が入るまでには時間もお金もかかったが、あとの緒方(小池徹平)、香坂(新垣結衣)、小林(サエコ)はあっさりとしすぎている。矢島が入ったからという理由なのだろうか。人生の分岐点とも言える、大決断のはずなのに、なんともお気軽な選択だ。それが龍山高校の生徒らしいところなのかもしれない。

 ところで、水道も止められるほどに貧乏な桜木が18万円もするトランペットをどうやって購入したのだろうか?矢島のトランペットを買い戻すために、工事現場でのバイトをしたということか。だとすると、桜木というのは、大雑把そうに見えて意外と細やかな心を持った人間に違いない。

 なお、矢島を説得するシーンで、桜木が「受験は今の日本に残された唯一の平等」というような発言をした。しかし、それには賛成できない。ある程度の資金がなくては、平等な土台に立って受験をすることなど不可能だからだ。
 大学受験であれば、まず高校を卒業(あるいは大検に合格)しなくてはいけない。それには、授業料などがかかる。また、実際に受験する段になっても、決して平等ではない。金持ちは、有名な予備校や家庭教師によって、効果的な受験勉強をし、様々な情報を得ることもできる。一方、そんな余裕がなければ、自力でやるしかないが、参考書代もかかるだろうし、長年の蓄積のある予備校などのノウハウを得られないのは、決定的に不利である。それを乗り切ったとしても、最後には受験料という問題もある。
 また、住んでいる地域によって、不利になることもあるだろう。センター試験は各地で受けられるが、たとえば東大の本試験を受けるとなれば、東京まで来なくてはいけない。地方からの受験者にとっては、交通費や宿泊費というような費用面の問題もあるし、不慣れな地域での試験というのは圧倒的に不利である。このように、受験といえども、そう単純に平等だとは言えないと思う。

 それはともかく、とりあえず、今回までは前奏で、次回以降、本格的に「特進クラス」が始まる。果たして、どんな勉強法なのだろうか。そして、クラスのメンバーたちはついていけるのか。他の教員たちはどうなるのだろうか。まだまだ目が離せない。

「バカとブスこそ東大へ行け」

 一応は期待程度の内容だったと思う。物足りない感じもしたが、初回はこの程度だろうか。仕方のないことだが、主要人物の紹介とドラマの方向性の提示に終始した感もある。

 桜木建二(阿部寛)は口が達者な貧乏弁護士。この設定は、「最後の弁護人」「トリック」での彼の役にそっくりなのだが、同様の設定に見慣れているせいか、ハマリ役のような感じがする。阿部寛にはどことなくウサン臭さと投げやりっぽさが感じられるので、こういう役に向いているのかもしれない。彼の出るドラマは彼の言動を観ているだけでも面白い。だから、本作も阿部寛主演というだけで楽しみなのだ。

 一方、龍山高校3年生の主要なメンバーは矢島雄介(山下智久)、水野直美(長澤まさみ)、緒方英喜(小池徹平)、奥野一郎(中尾明慶)ら。それにしても、小池徹平はこのところ、あらゆる学園ドラマに出演している。「ごくせん2」「ウォーターボーイズ」「ヤンキー母校に帰る」などと大忙しだ。バーニング所属だからだろうか?その割に、相方のウエンツ瑛二はドラマではほとんど見かけない。演技力や人気の問題なのだろうか。

 また、山下智久が挿入歌を歌うということが話題になっていたが、第1回の中では、あまり効果的な使われ方ではなかった気がする。「ごくせん2」では亀梨和也の「絆」が挿入歌として使われていたが、こちらはとてもよかった。メロディーや歌詞が作品に合っており、効果的な場面で使われていたので、いまでもあの曲を聞くと「ごくせん」を思い出すという人も多いだろう。本作での「カラフル」がそれに匹敵する曲になるかどうかは今後にかかっていると思うが、どうもうまくいかないような気がしてしまう。

 ところで、このドラマは同名のコミックが原作だが、そのコミックは郁文館学園を意識して作られたのだろうか。郁文館は歴史ある名門学校だったが、土地の運用などに失敗し、経営に行き詰まった。その再建に乗り出したのが居酒屋チェーン「和民」などをはじめとして、介護分野など幅広い経営を行うワタミフードサービス社長の渡邉美樹氏である。彼が行った再建の様子は、日本テレビ系列の「ザ・ノンフィクション」(東京では日曜午後2時から)という番組において、第2弾まで放映された。その第2弾が放映されたのはつい1、2週間前のことだ。経営の成り立たなくなった高校を、進学率を高めることで再建するという方向性が似ているので、意識しているように思うのだが、どうなのだろうか。

 それはさておき、ドラマとしては、桜木の言動に注目したい。それと同時に、個性豊かな教員たちの待遇も見所だろう。また、当然ながら生徒たちにも目を向けなくてはならない。だが、初回を見る限りでは、生徒たちに魅力を感じられなかった。阿部寛主演ドラマでは、彼が強すぎて他の出演者が隠れてしまうことがあるので、生徒役の俳優たちもがんばって対抗してほしい。桜木、教員、生徒のバランスが釣り合えば、きっと面白い作品になるだろう。

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