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映画「ベースボールキッズ」

ベースボールキッズ

ベースボールキッズ

【監督】 瀧澤正治
【キャスト】 落合扶樹、大高力也、佐保祐樹、ほか
2003年、全96分
公式サイト

 設定が面白いわけでもない、展開が新鮮なわけでもない、革新的な映像表現があるわけでもない。だから、凡庸とかありきたりとか陳腐とか、そんな一言でくくってしまうこともできる。でも、この作品は、表面的な新奇さを狙った作品ではない。意識的に王道的な物語を描くことで、少年たちの青々とした成長をストレートに伝えようとした作品なのである。小手先だけの変化球よりも、磨ききった直球の方が良い。投げられた直球は、観た者の心にまっすぐ届く。そんな作品なのである。

 千葉のローカル局、千葉テレビ放送による初めての映画事業として制作された本作は、監督にとっても初めての映画だった。そしておそらく低予算の中で創られた。そんなウィークポイントを感じさせないような、とても良い作品だと思う。もちろん、完璧とはいえない。いや、細かいことを言えばマイナスの方が多いのかもしれない。しかし、観終わってみると、いつのまにか、暖かい気持ちが心に宿っていた。細部がいくら巧くても、全体としてはつまらないという作品も多いが、本作はその反対で、細部の荒さは目立つものの、全体としては印象深い傑作である。

(以下、ネタバレあり)

 物語の展開は非常に典型的で、映画などを見慣れた大人にとっては物足りなく感じるかもしれない。また、おそらく予算や時間の都合もあると思うが、描ききれていない部分が多く、消化不良という感じもする。逆に言えば、無駄が多いということかもしれない。

 そのひとつとして、親の存在が挙げられる。作中ではいくつかの家庭の親子関係がところどころで描かれる。しかし、そのいずれもが中途半端で分かりにくい。藤井の家庭などがその最たるもので、親とのすれ違いを描いているのだろうが、それを描きたいのならば、もっと時間を割くべきだ。

 私が観た限りでは、親子関係を描く必然性が全く感じられなかった。その関係はどれも描きっぱなしで、子供に与える影響や関係性の変化などが見えてこない。時間的な都合で描ききれないのであれば、はじめから親子関係というテーマを取り入れるべきではないと思う。

 そもそも、親の存在が意味を持つのは、金田の母親に万引き疑惑が勃発した際の下級生たちの対応においてだけである。町田の父が「金田とは付き合うな」と言うシーンなど不要としか思えない。もっと言えば、監督と父母が話し合うシーンも必要ないだろう。野球に限らず、子供のスポーツというのは、親の関わりが大きいものだと思うが、この作品においては、応援席での様子ぐらいで十分ではないかと思う。

 本作は子供同士の関係や成長を中心に据えているのだから、それを描くだけで良い。それだけで十分に魅力的だと思う。むしろ、親という存在を無理やりねじ込んだことで、作品の魅力を減らしてしまっている気さえする。子供たちだけの世界をもっとクローズアップして描いてほしかった。映画に限らず、子供を描く物語というと、何かと親子関係を登場させたがる傾向があるが、本当に描く必要があるとは思えない場合が多いのは残念なことだ。

 次に、私がこの作品のなかで一番納得できなかった点を書いておこう。それは、金田少年の死である。なぜ、彼は死ななくてはいけなかったのだろうか。

 この作品を観終えたとき、私の頭には宮沢賢治の『風の又三郎』が浮かんだ。風と共にやってきて、風と共に去ってゆく又三郎。その存在が金田少年に重なって見えたのである。

 DVDに収録されているメイキング映像の中で、監督の瀧澤正治はこの作品は童話であると言っていた。まさに童話だと思う。でも、だからこそ、金田少年の死というのは納得できない。急いで『風の又三郎』を読み返してみたが、又三郎がいなくなるのは、死んだわけではなく、父親の仕事の都合であった。しかし、金田少年は死んだ。彼が死ぬことに、理由はあったのだろうか。

 童話で死を描いてはいけないとか、そんなくだらないことを言うつもりはない。私が言いたいのは、童話に限らず、物語において描かれる要素は必然性を帯びているべきだということだ。死という大変大きな要素であれば、なおさらのことである。余談だが、文学系新人賞に寄せられる原稿の多くが死を描いているという。そして、それらの多くが必然性の感じられない死であるという。死という大きな出来事を描かなければ物語を作ることが出来ないのだろう。あるいは、涙を流させるための手っ取り早い手段だからかもしれない。そして、そういう作品は落とされる。

 少し話がそれたが、この作品における金田少年の死も、視聴者を感動させるのが目的なのではないだろうか。たしかに、彼の死によって、他のメンバーの気持ちは変化しただろう。だが、それが大きく描かれたわけでもないし、何らかの都合で試合に来られなくなったというだけでも同様の変化は生まれたと思う。それゆえ、私には、金田が死ぬ必要があったとは思えず、納得できないのである。

 金田が決勝戦を前にいなくなるということには必然性がある。作中において、金田が神のような存在として描かれていることは明白であり、そのためには必ず消えなくてはいけないからだ。町田が地蔵に手を合わせたことにより、市原ジャイアンツに降臨した神は、チームのメンバーたちの心に何かを残し、そして去ってゆく。だからといって、『風の又三郎』がそうであったように、金田自身を神秘的に描いてはいけない。あくまでも、神のような存在であり、神ではない。それは感じとるべきもので、他の登場人物たち、そして、我々視聴者たちの心の中の問題である。だから、彼の登場も退場も、どちらも論理的でなくてはいけない。登場は監督の要請の結果であり、退場は死であった。

 金田の家族が全員亡くなったという設定があるために、金田が決勝戦に参加できない理由を上手く用意できなかったのかもしれない。施設で生活している彼の家族の中で、父親だけが生きている可能性があるが、失踪してしまい見つからない、というような設定であれば、その父親が見つかったので、急遽そちらへ行かなくてはいけなくなったなどという理由も考えられる。その理由はどんなものでも良いが、とにかく、彼が死ぬという展開だけは避けるべきだったのではないか、というのが私の意見である。

(ネタバレここまで)

 さて、まだ書きたいことはいろいろとあるが、かなり長くなってしまったので、このぐらいにしておく。どちらかというと批判的な意見が多くなってしまった気がするが、私は傑作だと思っている。それだけに、散見されるマイナスポイントがもったいなく感じられるのだ。

 全体としては心に染みる作品で、繰り返し観たくなってしまう。光を効果的に取り込んだ映像が、どこか神秘的な薫りを醸しだしているのも良い。少年野球という、ありふれたモチーフを幻想的に昇華させた現代の童話をぜひ味わってほしい。そんな気持ちでいろんな人に勧めたくなる作品だった。

At 19:07 | コメント (52) | トラックバック (0) | 邦画
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